祖母が残してくれた本

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 昼休みになると、できるだけ人目を避けるようにして教室を出た。  自分の席にいても、誰も話しかけてくれないし、むしろ、私がいるのを迷惑そうに見て来るのだ。  その視線に耐えるよりも、誰もいない校舎の隅っこで一人で過ごすほうがよっぽど楽だった。  校舎の裏にある静かな中庭に着くと、やっと肩の力が抜けた。  深呼吸をして、空を見上げる。  秋の空はどこまでも高く、澄んでいた。  そんな空を見るたび、今、自分が置かれている状況がいかに理不尽で、狭苦しいものかを痛感する。 「いつまでこんな状態が続くんだろう……」  誰にも聞こえないように、小さな声でつぶいた。  友人と思っていた人たちが、一瞬で自分を敵視するようになった理由が、いまだによくわからない。  あの日、祖母のお見舞いを優先したことで、こんなことになるなんて、予想もしていなかった。 『どうしてあの時、無理してでもカラオケに行かなかったんだろう?』と後悔することもある。  けれど、祖母の容態が悪化している中で、どうしても見舞いに行かないわけにはいかなかった。  自分は正しいことをしたはずなのに、その結果がこれだった。
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