Accomplice

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『それではこれより、Aレーンより順にスタート致します。』 オークションがスタートを切り、画面が秒速で切り替わっていく。   『Aレーン1号車スタート、2号車スタート、3号車スター…………』 しかしチャットの軽やかな可愛らしい効果音は、どうも私の心臓には悪いらしく。   《売るなら4桁で願います。》 〈犯罪者になれと?〉 《被害者と加害者の熱烈なつり橋効果も悪くないですね。》 一秒も気を抜けないこの状況。余裕でメッセージを送りつけてくる男の絶妙な美笑が目に浮かぶよう。私も冷静な自分をみせつけるように、彼に送り返す。      負けられない戦いが、ここにある―――― 〈つり橋効果は長続きしないそうですよ、実来(みらい)君。〉 《それは僕の器量によるのでは。》 Gレーン2号車―――――――― ――――――きた そう思ってからおよそ12秒後。 【以下の金額で落札されました。】 【630万円】  うそでしょ。正規価格650万円なのに?!その仕入れ値に点検修理費つけていくらで売る気なの?   パンデミックの影響により世界に及ぼされている深刻な問題、半導体不足。今や新車の納入に二年はかかるといわれている。 希少車なら尚のこと。今や中古車も新車並みの価格として販売されているのだ。解消されるのはいつになることやら。 《期待していいですよ。里夏(りか)先輩。》   復讐野郎との関係が解消されるのはいつになることだろう。    この男、私を絆してなんになる。
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