悪魔憑き

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悪魔憑き

「キリア、悪魔憑きって結局何なの?」  暖炉で小さく燃える火が薄暗い部屋をほんのり明るく照らす寝室、箱の中に藁を詰めてシーツを敷いたベッドの上で姉が問う。ダイアウルフを討伐したその夜のことである。 「今は話したくない」 「どうして?」 「…………寝るから!」  キリアは布団を被って丸まってしまった。寝る、とは言いながら震えているところを見るに、どうやらそういうことらしい。 「う、うん。おやすみ、キリア」  クリサはそれ以上何も聞かずに、その代わり他のことを思い返しながら寝ることにした。  アッシュにまた助けられちゃったな。  ピンチに颯爽と現れて助けてくれて。  もっと身なりがきれいだったら御伽噺の王子様か英雄みたいだな。  でも戦い方は……ふふっ……美しさの欠片もなかったけど。  逃亡奴隷って言ってたけど、元々何をしてたんだろう。  炉の灰被り……。鍛冶屋さんかな……?  …………大人でも手を焼く悪魔憑き相手に……一歩も引かないどころか3つまとめて……相手した……の、今考えるとおかしい……よね…………?  ダイアウルフと戦った疲れもあったろう。考える内にすうすうと寝息を立てるのにさほど時間を要しなかった。
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