悪魔憑き

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 その翌朝。  アッシュが何者か気になったクリサはフロキのガラス工房にやってきていた。 「おはようございます!」 「おお、我が恩人、おはよう。またガラス製品のお使いかい?」 「それもあるけど、フロキおじさんに見てほしいものがあって」  そう言って懐から取り出したのはアッシュから貰った薬の小瓶である。 「これは……」 「ある人から貰ったんだけど……」 「これはこれは……珍しい。東国の……いや、南国の作りだ。シエナ王国かデルグント王国で作られたものだろう」 「シエナ王国……? デルグント王国……?」 「そうだ。ここより遥か南。大陸の中央にあるのがシエナ王国、東一帯にあるのがデルグント王国。彼の国はどちらも豊かだと聞く。……ただ、最近は不穏な動きがあるがな」 「不穏?」 「なんでも、南の方じゃあ『魔王軍』とかいうのが各地を荒らし回っているらしい。そいつらはどうも、西の大陸から海を超えてやってきた異形の連中で、鋭い爪と牙を持ち、人を喰らう、恐ろしく残忍な奴らだと聞く」 「そうなんだ……この国にも来るかな……?」 「いやいや、この国に来るまでに南西部国家連合やシエナ王国、デルグント王国、ヘルツォンラント大公国が壁になる。ここまでは来ないだろう」  よかったー。と、にこにこ顔で安堵するクリサ。お使いの品物を受け取って、上機嫌で家に帰った。
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