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いくら2人にお断りの手紙を書いても、2人は諦めずしつこい。一つ手紙を送れば、その倍になって手紙が帰ってくる。
どれも内容は同じ。
「僕を助けてくれ」
「君だけが頼り」
「なぜ助けてくれない?」
「カエサルは私のことが大切でしょう」
「かわいそうな私を助けたくないの?」
「ねぇ、助けて!」
彼らは自分のことばかりしか、考えていない。
いま、お義母様と魔石爆弾(グレネード)の精密度を上げる研究と魔石回復の研究をしているのに、迷惑極まりない。カエサル様はお義父様が手助けてくださるとは言え、執務、領地経営、魔物討伐と忙しいのに。
「カエサル、あまり無理しないでね」
「大丈夫、僕はローリスが居るから頑張れる。ローリスも無理するなよ」
「……はい」
一年後。カエサル様、辺境騎士が魔物討伐に魔石爆弾と魔石回復を使用出来るまできた。いまは火魔石爆弾、水魔石爆弾など魔物の弱点に合わせた爆弾も開発中だ。
「ただいま戻りました」
本日はメイドのキャロルと鉱山行った帰り、カエサル様の執務室へと呼ばれた。そこで王家の封蝋が押された、手紙を渡される。
「え? また妹から手紙ですか?」
「ああ、ローリスのところにも、バカ王太子からきている」
「……そうですか」
ミサロ殿下は一月前に王太子となり、妹も王太子の婚約者となったのにもかかわらず、辺境伯には2人からの手紙が毎月届く。
「手紙の内容も、ずっと一緒ですね」
「ああ、僕達が夫婦となったと伝えても、2人は僕達を王都に呼ぶ……あの人達は僕達に何をさせたい?」
「ほんと、何をさせたいのかしらね」
(それが分かればいいのだけど、「話がある、いちど王都へ来てくれ」と、手紙に書いてあるだけ)
行くとしても、辺境地から王都へは馬車を早朝から夜まで飛ばしても、1日半はかかる。今は魔石爆弾、回復があるから、大型の魔物でなければ魔物討伐を騎士達に任せられる。
(お義父様とお母様は、美肌のお湯が出ると噂の隣国へ、温泉旅行中だし)
「ねぇカエサル。2人に手紙をやめてもらうよう言いに、王都へ行ってみる?」
「そうだな、ここで考えていても埒があかない。僕達の仲を見せつけてこよう」
と笑い、カエサルは私を抱き寄せた。
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