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 そう思っていたのですが、違うようです。  翌日、スカーロン森を無事に抜け一息つくまもなく、私は屋敷へ到着してすぐ体を清め、ウェディングドレスを着ていた。 (なぜか……下着、ウェディングドレスとヒールのサイズがぴったりだわ) 「ローリス様、ドレスのサイズはどうでしょうか?」 「ええ、ピッタリ……ありがとうございます」  屋敷に着いて早々、結婚式だなんて聞いていない。だけどここは辺境の地で、何が起こるか分からない場所。  私も、この地へ何度も訪れているからわかるのだけど……色々と準備が早くない? カエサル様との婚約者がすんで、すぐに結婚だなんて、それも屋敷に着いてすぐとか。  別に嫁ぐために来たのだから、いいのだけど。私好みの、部屋まで用意されていた。 (ベッド、家具、私の好きなメーカー。ドレスだって好きな色。彼は妹が好きだったはず)  愛されない、白い結婚だよね。  姿見に映る困惑した表情の、ウェディングドレス姿の私を見つめた。  領地の教会が建て直しのため、屋敷の中での挙式だけど。たくさんの花が飾られ、美味しそうな料理、そして辺境騎士、使用人達の祝いの言葉と笑顔。  1番驚いたのは、隣のカエサル様の破顔。    もしかして、私はカエサル様に愛されているの? 「……ローリス?」 「え?」  いつの間にか式が終わり、日が暮れていて、お風呂上がりで、ガウン姿のカエサル様が側にいた。――あ、私、披露宴の後……キャロルと辺境伯のメイドにお風呂に入れられ、体は磨かれ、ブルーのナイトドレスに着替えている。 (これが、カエサル様の好み?)  結婚したのだし。  いまから、初夜。  式は挙げたけど、君のことは愛せないとか……カエサル様の私を見つめる瞳。どうやら、白い結婚ではないみたい。  殿下の婚約者だった頃は、魔法の研究ばかりだったけど。私には前世の記憶もあって、色々わかっているけど…… 「ローリス」  瞳に欲望の熱を含んだ瞳と、カエサル様の長い指先が私の頬に触れた。 「綺麗だ、ボクの天使……愛している」 「あ、カエサル様……」  彼を見つめると熱が瞳で見つめ返され、ベッドに押し倒された? (え? あ、ああ)   ……うそ、は、初めてのはずなのに気持ちがいいなんて。いつの間にかシーツ、体も綺麗になっているし。  まだ隣で眠る、カエサル様の寝顔を見つめた。  この人が私の 「旦那様……」 「なに? ローリス」  寝ているはずの、カエサル様の瞳が開いた。 「お、起きていたのですか?」 「どうだろうね。ローリス、体は平気?」 「……はい」  彼は素早く私にキスをして、ベッド抜けガウンを身につけ「着替えて、朝食にしよう」と、部屋を出ていった。  すぐメイドのキャロルがやってきて、お風呂を済ませて、ドレスに着替える。相棒としても強い彼女は、メイドとしての仕事も完璧だ。 「ローリスお、違った。ローリス様、よかったね」 「よかった?」 「私の、大切なローリス様が旦那様に愛されなかったら、奪おうかと思ったけど。大丈夫そう」 「大丈夫?」  そんな事を言って、支度を終えたキャロルが部屋を出ていくと、すぐ着替えたカエサル様が入ってきた。
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