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やってしまった、淑者らしからぬ言動。
元はとはいえ「王妃教育を受けたはずよね」と、言われてしまう。
「……すみません」
「フフ、ローリスさん気にしなくて良いのよ。カエサルから毎日のように、ローリスさんの話は聞いていましたわ。魔石爆弾と言うのでしたわよね」
「そうだったな。私もカエサルから聞いて、早く見たくてうずうずしていたよ。それがあれば、魔物討伐が楽になるのだったな」
カザールお義父様と、アーシャお義母様はご存知のようで、瞳を輝かせている。カエサル様を見れば、頬を染めて、優しく見つめられている。
(期待しているみたいだし、見せた方がいいかしら?)
私は応接間にメイドのキャロルを呼び、魔石爆弾(グレネード)が入った箱をもらった。その箱をテーブルの上で開いた。
「これが魔石爆弾か……キラキラ光る石?」
「これって、魔力を込めないと使えない魔力石よね。この国でも取れる場所があるなんて、聞いたことがないわ」
お義母様は石を一つ掴み、眺めた。
「聞いてください、母上。辺境地近くのローリスが持つ、鉱山で発掘できます」
「え? 何故それを、カエサル様が知っているのですか?」
私が話す前にカエサル様がウキウキと話し始める。それに私と、部屋の隅に立つキャロルが驚いた。
「あ、それは……」
「カエサルは、助けてもらったあの日からずっと、ローリスさんを見ていたものね。おバカ王子の婚約者だと知っても諦めれず。学園に入学してもずっと、だからあの子にいいように使われてしまった」
「言わないでください、母上!」
「ハハハッ。いちど愛してしまったら、諦めが悪いのは私と同じだな。お前が、他の女性とは結婚できない。愛する人の幸せを願い、生涯独身でいると言ったのもわかる」
この話って、カエサル様はずっと私を好きだったということ?
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