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お義父様とお義母様に「王都へ行ってきます」と手紙を送り。早朝、私とカエサル様はラフな格好で、馬車に乗った。
護衛と、メイドのキャロルは馬で付いてきている。
(キャロルったら、久しぶりに馬に乗れて嬉しそうね)
前を悠々と馬に乗ってゆく、キャロルを馬車の窓から眺めた。カエサル様は忙しいのか反対側の席で、書類に目を通している。
「カエサル、何か手伝うことある?」
「いいや、大丈夫だよ。それよりローリス、僕の隣に座って欲しいな」
「はい」
隣に座ると、カエサル様は私の肩に頭を乗せた。凛とした表情で学園にいた頃とは違い、私に甘えるカエサル様は可愛い。
もちろん魔物と戦う姿は素敵。
執務を行う姿、真剣な表情。
私に笑いかける笑顔は素敵だ。
(妹ばかり愛した私の両親とは違い。辺境地で優しい人達ばかりに囲まれている、彼のお嫁さんになれて毎日が幸せだわ)
「楽しそうだね、何か良いことでもあった?」
「ええ、毎日が幸せだなって……あなたのお嫁さんになれてよかったって、思っていたの」
「僕もローリスの旦那になれて幸せだ。今晩、可愛い僕の嫁を、抱き潰してもいいのかな?」
「え?」
その一言で、昨晩の激しい夜を思い出してしまう。彼に求めてもらえるのは嬉しいが。いまはあの2人に会うため、王都に向かう途中。王都手前の街で、1泊するのだけど。
「嬉しいですけど。今朝のように寝坊して、起きられなくなります」
「ハハ、そうだね。今日は優しくローリスを出し決めて眠って、激しくするのは終わってからにしよう」
求められるのは嫌じゃない。
でも、頬が熱い。
「こんなに可愛い僕の嫁を、奴に見せたくないな。今頃になって優秀だと気付き、力を借りたいなど許せない」
「私も同じ意見です」
ミサロ王太子殿下は私の魔法に関しては、まだ知らないと思うし。辺境伯の力を侮っている。カエサル様は私よりも魔力、魔法に長けている。
ご両親の力を受け継いだ、カエサル様はこの国1番の剣と魔法の使い手。これに私の魔石爆弾(グレネード)が加わり最強となっている。
「2人との話し合いで面倒になったら、魔石爆弾投げてしまうか」
――魔石爆弾を投げる?
「ええ、そうしましょう。少量の魔力を込めた魔石爆弾(グレネード)なら、怪我もしないと思います。元になる魔力石を持ってきましたわ」
「ローリスも? 僕も持ってきた。ハハハッ、僕達は最高に相性のいい夫婦だね」
「フフ、そうね」
私達、辺境の地に住む者は、何処の土地に行っても暮らしていける。「嫌になったら、国を捨ててもいい」と、お義父様、お義母様も言ってらしたわ。
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