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 私達は城の応接間に案内された。中には少し痩せたミサロ王太子殿下と、宝石などを付けた婚約者の妹がいた。 (会うだけなのに、まるで舞踏会にでるようだわ)  ミサロ王太子殿下は機嫌が良いのか、にこやかに笑い、私達を反対側の2人掛けのソファに誘導した。 「カエサル、ローリスよく城にきてくれた」 「ミサロ王太子殿下、僕達は学園では友でも、僕の事はカエサル卿か家名のバルキッサ卿と、妻は辺境伯夫人とお呼びください」 「なに、2人は結婚したのか? そのような話は聞いていない」 「そうでしたか、結婚はなにぶん急なったもので。だが、陛下と王妃には話してありますし、許可も頂いております」 (私との結婚を陛下に頼んだと聞いたわ。そこから、王太子殿下に話がいくと思ったのだけど、知らなかったなんて)  だから、王太子殿下からの私の手紙は、実家の公爵家から送られてきた。縁を切った両親は面倒だけど、王太子殿下からの手紙だから、うやむやに捨てられなかったと書いてあった。 「2人の結婚の話、姉妹の私も聞いていませんわ。カエサル様……ローリスお姉様と結婚だなんて、無理やり結婚させられたのね、お可愛そう」  私をコケにした言葉を言うと、妹はハンカチを取り出し泣くマネを始めた。この結婚はカエサ様からの申し出なのだけど……両親も愛する妹と王太子殿下との婚約に浮かれていて、私の話をすることを忘れたみたい。 「いいや、僕から結婚したいと陛下と公爵に願いでた。ローリスと結婚出来て僕はとても幸せだ」 「そんなわけないわ。酷い、ローリスお姉様に言わされているのね」    何を言っても自分のいいようにしか考えない、ちっとも変わらない妹に小さくため息が出る。2人掛けソファの隣に座る、カエサル様の手が、2人に見えないよう私の手を握った。  それだけで自分の心に余裕ができる。 (ありがとう、カエサル) 「僕達の結婚の話はそれくらいにして、何度も手紙を送ってきて理由を教えてくれる? 僕達も暇ではないんでね」  カエサル様が手紙の話を言うと、王太子殿下は待っていましたと言わんばかりに話し出す。 「ロー、いや、辺境伯夫人をしばらく貸してくれないか?」 「僕の妻を貸す? 多分訳を聞いても、出来ない話だね」  ミサロ王太子殿下の事だから、溜まった執務を私にやらせたいのかしら? 婚約者だった頃は、ほとんどの書類を私が片付けていて、殿下は判子を押すだけ。 (他の書類にも目を通してくださいと、お願いしていたのに……やらなかったツケ回ってきただけ) 「頼む。1ヶ月いや、1週間だけでも」 「無理だ」 「報酬ははずむ、頼む。……クッ、欲しい物をなんでも買ってやる」 「無理な話だ」  いくらミサロ王太子殿下が頼んでも、カエサル様は首を縦に振らなかった。
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