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 ――魔石爆弾(グレネード)を地面にぶつける実験は、鉱山の中で、魔法で結界を張ってやったほうがいいわね。  この思いつき、実験がどうなるのか楽しみで私は口をニンマリさせた。 「これでもくらいなさい! 魔石爆弾(グレネード)」  現れた魔物にぶつけた。  魔物は爆弾に傷付き、叫び声をあげる。 「魔物が弱ったわ! キャロル、タロさん、後はよろしく」  弱らせた魔物は2人に任せて、私は新たに現れた魔物と睨みあった。  私は魔石爆弾(グレネード)を思いついてから、魔力石に魔力をどれくらい込めれば魔物に致命傷を与えられるか、スカーロン森で研究させてもらった。 『キャロル、どう?』 『もう少し、爆弾の威力が強くてもいいかと思います』 『わかった、次行くわよ!』  ある程度、集計が取れて実験が終わり、魔石爆弾で吹っ飛ばしてしまった地形、木々などは魔法で元通りに戻した。  だから、私がここの森で研究したなんて、メイドのキャロル以外誰も知らない。 「キャロル、タロさん、今日はここで野営しましょう」 「かしこまりました。ここにテントを張りますので、ローリスお嬢様は周りに結界をお願いします」 「ええ、わかった」  私とキャロルはお互いの作業を始める。その姿をまだオロオロしながらタロさんは見ていた。  数分後、テントの周りに結界が張られ、二つのテントと、石で組んだかまど後出来上がった。 「動いたから、お腹すいたわね」 「ローリスお嬢様。ここにさっき倒したばかりの魔物の肉があります」 「魔物の肉? いいわね、それを焼いて食べましょう」   「ひぇー! ま、ま、魔物の肉を焼いて食べる⁉︎」  私達の言葉に、タロさんは腰を抜かす。  タロさんが驚くのも無理ない、魔物の肉には多少なりとも、瘴気が含まれているが。  その瘴気を私は鑑定魔法で見抜く。  見抜いた箇所をキャロルに教えれば、彼女が素早くナイフで肉を切りとってくれる。  食べられない魔物の肉は、全て火魔法で燃やす。  まあ燃やしても、魔物の体に染み込んだ瘴気は消えないが。そのままにしておくと、瘴気を含んだ肉を他の動物、魔物達が食べてしまい、二次災害を起こしてしまう。 「おやめください、ローリス様。魔物の肉を食べるなんていけません! あれは毒です!」 「平気よ。魔法で鑑定して、食べられる肉だけ切り取ってもらったから」   「この、私のナイフ捌きを見てください。私のナイフ捌きは、この国一優れています」  国一? キャロルがそう言うのなら、そうなのだろう。  彼女に剣を握らせたら、騎士よりも強い。  ――なぜ、キャロルは強いのか。  ある殺し屋が、孤児院がある教会から嘘の書類で彼女を引き取り、殺しの訓練をさせ殺し屋に仕立て上げたが、一度の失敗で呆気なく捨てた。  いまから10年前、私が8歳の頃。キャロルはお金もなく、空腹で、王城へ行く途中の私の馬車を襲ったが、私の防御魔法に跳ね返されて失敗に終わる。 『クソッ、なにこれ?』 『私の魔法よ』 『魔法?』 (この子……走る馬車に平然と飛び乗り、ナイフをかざしたわ。私と同じくらいの歳だけど、相当な腕の持ち主?)  ちょうどその頃、相棒が欲しかった私は「お腹いっぱい食べさせてあげるわ。私のところへ来なさい」と、彼女をスカウトした。  キャロルは殺し屋のときの経験なのか、荷物持ち、野営は慣れているし。私も前世、おひとりキャンプの経験がある。  タロさんがいまにも失神しそうな、魔物の肉を食べようと思ったのは。ある日、好奇心で「魔物って食べられるのかな?」と、キャロルの前で呟いたのが始まり。
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