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「別に干渉はしてないでしょ。そっちのすることにとやかく言ってるわけじゃないし」
俺が何かを言う前に、悪魔が答えた。
俺の羽に視線を戻し、羽の血を拭き取りながらさらに続ける。
「暗黙の了解とか知ったことじゃないしー? 条約があるわけでもないんだから、誰が誰と話そうが勝手でしょー」
悪魔は俺の羽を捲って他に傷がないかを探していた。
傷があったところはご丁寧にもガーゼでカバーされている。
むしろ傷口を抉るくらいしてくるんじゃないかと思っていたが、予想に反して優しい手つきで手当てをしてくれた。
最初に力加減を間違えたと言った以降、痛いくらいに引っ張られることもなかったし。
悪魔らしからぬやつだと気味が悪くなった。
「はーい。手当おーわりっ。いい子いい子。ご褒美は何がいー?」
「はぁ?」
「やっぱり悪魔と言えば飴? 頑張った子にはご褒美をーってね。確かまだあったはずー」
言いながら、悪魔は救護箱を闇の渦に突っ込み、中で腕をかき回して何か……おそらくは飴を探していた。
「あー、あったあった。はいどうぞー。頑張ったいい子には飴をあげまーす」
「いらん」
「そんなこと言わずにー。はい、どーぞ」
悪魔は強引に俺の手に棒付きの飴を握らせた。
さすがに投げ返す気にもなれず、俺は渋い顔で受け取った。
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