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「でさー、聞いてよ天使クン。オイラの先輩ったらすっごいオイラをこき使うんだよ。だるくないー? 呼ばれたのオイラじゃないのにお前行ってこい、願いをかなえて魂奪ってこいって。しかもそれ先輩の手柄になることもあるの意味不明っしょー? 今時回収する魂のノルマもないのにさー」
俺の隣に居座る悪魔は、脈絡もなく突然先輩の愚痴を語りだした。
これはいつまで聞かないといけないのだろうか。
いや、そもそも悪魔の話なんて耳を傾けるだけ時間の無駄に決まっている。どうせ中身などない。
いやでも頼んでないとは言え、傷の手当てをしてもらったんだし少しくらい……。
グルグルと悩んでいる間にも悪魔の愚痴は続いている。
やれあの先輩は女癖が悪いだの、あの後輩は願いを中途半端にしか叶えないだの、あの同期はお気に入りのお菓子を奪っていくだの……。
本当に俺は何を聞かされているんだろう。
「なぁ、そんな話天使の俺にしていいのか?」
「悪魔の間で話したら一瞬で本人の耳に筒抜けじゃんかー。でもオイラはグチりたいの!」
「……あっそ」
その点、俺はわざわざ悪魔たちに告げ口もしないし都合がいいってか。
まぁ確かに告げ口なんてしないけれど。
悪魔と天使は不干渉。言葉を交わさないのが暗黙の了解。
ましてやどの悪魔がこいつの先輩で後輩で同期なのかも知らないし。
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