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「……は?」
間抜けな声が出た。
悪魔の顔色はよく分からないが、その眼差しはどこか熱っぽい。
顔に伸びてきた手を、思わず仰け反って拒否してしまった。
それを見た悪魔はハッとした様子で手を引っ込めた。
「ごめん、ごめん。……でも、これは嘘じゃないから。って言って信じてもらえるかわかんないけど」
悪魔は少し早口で言った。
どこまでがこいつの計算だろうか。
どこまでもこいつの計算に思えて仕方がない。
なのに、これは本心だと頭の片隅で思ってしまう。
そう思わせるようにこいつが仕向けているかもしれないのに。
堕ちてもいいじゃないか、なんて天使として失格なことを考える。
これがどこまでこいつの手口だろうか。
悪魔の性質を知っているだけに、勘ぐって疑って信じることができない。
「……わ、悪いけど、俺はお前の言葉を信用できない。全部お前の……計画に思えてならない」
「だよね」
悪魔が寂しそうな声で笑う。
嘘かどうかを見抜くことなんてできやしない。
騙されるまで嘘だったと気づけない。
これが悪魔間での賭けやゲームなのかもしれない。俺がどのくらいで堕ちるか、俺が悪魔と恋をするのか。どこかでそんな話をしているんじゃないかと思えてならない。
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