第二章

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「物。風景。そして」  死神がロンドンの夜景を見つめる。 bdbfacb5-a129-4de5-8dc2-2c97b2e03aa8 「勿体ぶらずに言えよっ!。あの女、絵の中から出てきたってことだな?」 「我々の世界では、肉体を持つ絵の登場人物のことをマテリアと呼ぶ。つまり、君がまともに戦っても勝てない相手」 「ロレンツォ公!だから、頼む!その鎌であの女を。一生奴隷でいい。あんたが依頼するネットのダークな仕事は全部する。それで警察に捕まっても構わない」 「ハハハ」 と死神が笑う。 「今まで何を聞いていた?ベアリング・キャット殿。まともに戦っても勝てないと私は言っただろ?君は特定屋だ。その能力は何のためにある?」 「やりようによっては、僕にも勝機があるってことか?」 「肉弾戦ならまあ、勝ち目は無いだろうさ。あの女の剣戟は凄まじい。アンジェロも呆気に取られていた。音楽学校の練習室に突撃してきたからね」  サライは凄まじい速さで動いていた女を脳裏に思い浮かべる。  そして、ちょっと待て、と思った。 「アンジェロはどうやって助かった?」 「私が助けた。この格好でね」 「あんたの正体は?」  黒衣の巨体は、確かめてみろと言わんばかりにぬっと顔を近づけてくる。 「どこかで見たことがあるぞ!あ、バーントなんとか。そうだ!館の壁に飾られていたでかい死神そのものじゃないか!!」 「よく覚えててくれたね。関心、関心。バーント・ノトケ。アンジェロは、バーントの死神さんと呼んでくれるがね」 「あんたも絵から出てきたってことか?つまり、絵の登場人物なのか?」 「いいや。人間だ。ちょっと特異体質のね。現時点ではそう説明しておこう」 「この世のどこに、死神に変身できる体質の人間がいるんだよ!!」 「だから、ここに」 「あああああ~~~~~っ、もう。話が通じない。あり得ないだろ。じゃあ、青いドレスの女もか?」 70b9cb3e-81e5-4318-9b88-cb83bb22b463 「あれは、正真正銘、絵の登場人物」 「じゃあ、二種類あるんだな。あんたみたいに、人間だけど絵の人物になれるのと、絵の人物そのものと。エヴァレットとチャールズが命令を絵の人物にしていたなら、青いドレスの女も誰かに命令されて動いているということか」 「今までのパターンでいったらそうだろうね」 「ってことは、イレギュラー?」 「それをこれから調べようとしている。それにしても、あの状況下でよく観察できているねえ。偉いぞ、サライ。さ、上空は寒くて身体が冷えてしまう。行こうか。飛行機に乗れたのだから、高所は大丈夫だね?」 「そもそも、何で浮いていられる?!」 「言っただろ。死神だから」 「全然、説明になっていない!どこに行く気だ?降ろせっ!」 「いいけど」  ロレンツォがサライの腹のあたりを掴む力を一瞬緩めた。
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