第二章

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 足元にはかなり横幅のある河。そして、重厚で巨大な跳ね橋がライトアップされている。  身体がゾワッとした。 「冗談だ。これで少しは興奮も覚めただろう」  死神の声は少し疲れているように聞こえた。  跳ね橋の方向に向かって飛び始める。 「行き先は、ロンドンパレス。歴史の古いホテルで、各国の王族御用達。そして、リチャード・クリスティンの連中の多くがそこを家代わりにしている。今夜の君の宿もそこだ。スウィートルームだから、快適なはず」 「宿なんかいらない。あの女を探せよ」 「再び出会えたところで何も出来ないだろうが。頭に血が上ると、一瞬で判断力が低下するようだな。特定屋。今、君がするべきことは、誰が使えるか見極めることだ」  河を渡り終えるとすぐに大きな建物が見えてきた。 59982db4-dea3-4315-8bec-17f81f1a0a64  死神はそこの屋上をめがけて鳥のように滑空。  内部に入ると、最上階の廊下にサライを立たせた。  膝がかくかくする。  身体に力が入らない。  自分は相当怖かったらしい。  たまらず廊下にへたりこんだ。 「ほらね」 と言って、死神がサライの襟首を掴んで廊下を引きずっていく。 e237ca1b-9f03-4f36-b346-7dc9e2d1b5de  扉に付いたカードを差し込む場所に骨だらけの手をかざすと、カチッと音がして、取っ手を回すと扉が開いた。 「本来、君の部屋は隣なのだが、家主は不在だ。先に部屋にいてもいいいのだが、感動の再会が薄味になってしまう」 「何、言ってるのか分かんねえよ」  二人掛けのソファーに物のように投げ飛ばされ、サライはそこに丸まる。  ロレンツォは一人がけのソファーに。 「この姿だと、お尻がキチキチで不便だねえ」 と言いながら懐から携帯を取り出し弄り始める。  死神が携帯。  なんともおかしな姿だ。 「戻ればいいじゃねえか。人間の方に」 「これからもう一仕事あるものでね」  少し時間が過ぎて、気づいたらエヴァレットが急に部屋に表れて、サライが元々着ていた服をソファーに放り投げるようにして置いていった。銀色の甲冑を着た女と一緒だ。  ロレンツォには早口で報告。 「切り落とさればかりの頭部が四つ、ホールの床に落ちていました。取りに戻ってくるかもしれません。警戒を強めます」 「エヴァレット。僕も……」
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