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第二章*記憶
「海人、」
「おい、さんな?海人さん。」
うん十億なんて聞かされて、
断ることもできず、
俺は彼女のそばで通訳と彼女の台本の翻訳も担当することになった。
今日は、事務所の会議室で勉強会。
すでに事務所にいた、彼女に出迎えられたわけだった。
俺を呼ぶ彼女の姿に彼女の周りにいたスタッフは、俺を頭の先から足の先まで舐め回すように見ていた。
「フフッ。先生って呼んだほうが、いいかな?」
「なにが嬉しいのか?分からんけど、俺との契約違反になるけど、いいのか?」
…理由は、彼女に話してなかったが。
先生と呼ばれると、気分が悪くなって…
酷い時は倒れたこともある。
俺が、教師としていられたのは…あの、彼女が在籍していた3年だけだった。
彼女は知らない。
「そうだった、海人でいいね。」
「だから、そこは…海人さ、ん。」
「フフッ、怒るとイケメンだね。」
「は?まったく、いつまで笑ってられるか。だな。台本の翻訳送っておいただろ?」
「うん。」
会議室に入り、鏡張りの部屋で部屋の中心に机と椅子が2脚置かれていた。
「部屋、広くないか?」
「ダンスレッスン場しか、今日空いてなくて…海人の家でやる?」
「…。」
彼女は、忘れてなかったんだな…。
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