第二章*記憶

3/3
前へ
/19ページ
次へ
「海人さん!」 彼女は俺の脱げたスリッパを持ち、俺に抱きついた。 「どうした?来る途中なにかあったのか?怪我でもしたのか?どこか痛むのか?どこだ?熱があるのに…登校したのか?」 俺はしきりに、彼女の様子を確認した。 「フッ。」 「うん?泣いてたんじゃないのか?笑ってるのか?…痛いとこないんだな?」 「はい。」 「じゃ~、遊びにでも行くか?」 そう言った自分が一番驚いていた。 「…遊園地でもって思ったけど、ごめん。」 結局、 どこ行っても…人の目が気になり、 ましてや俺といるところを 撮られでもしたら? なんて、考えたら…。 俺の自宅マンション入り口に立っていた。 「映画はあえて、なんだっけ?テレビじゃないので見てるって言ってたじゃない?観たい!」 無邪気にあえて笑って見せる彼女に、救われたものだった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加