第2話 カエル男

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 スプリンガー・レイジ・シンドローム――激怒症候群とも呼ばれる症候群で、何の前触れもなく、突然襲いかかる原因不明の攻撃行動を指す。  名前は、最初の症例がイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの犬種で確認されたことから付けられた。  普段落ち着いている犬が突然、狂ったように暴れ出し、攻撃性を剥き出しにして人を噛む。  通常、動物が攻撃に転じるには、縄張りを侵されたり、母性、恐怖を刺激されるなど、何かしらの切っ掛けや前兆がある。本症候群ではそれがない。  19世紀後半にイギリスの獣医師により、脳神経系の異常が関わっていることが示唆された。脳神経系の異常により、てんかんの発作で激しい攻撃行動が起こっている可能性が高い。意識が朦朧として見境なく攻撃してしまう発作が起こっているという考え方である。
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