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入場ゲートを通り抜け、園内マップを拾い、スカイシャトル乗り場やレストラン、メリーゴーランドなどが並ぶ広場に出る。
開園時なら大勢の人々が行き交う広場だけど、今は誰もいない。
シャトルが動いていないため、歩いて広い園内の北端まで向かわなければならない。北側のゲートを抜ければ魔都へ辿り着く。
園内が怪人だらけということはないみたい。
広場のレストラン群を慎重に歩いていた私は、メリーゴーランドの前に出る。
メリーゴーランドは、馬だけでなくパークのマスコットキャラクターである犬にも乗れるのが特徴だった。
弟と一緒に遊具にまたがった記憶を思い出していた私は、驚いた。
メリーゴーランドの前に、まだ4、5歳くらいの女の子が寂しそうに立っていたから。
「えっ?」
女の子が、どうしてこんなところに?
長い黒髪を2つ繋ぎにした少女は、白いワンピースを着ている。不安そうでつぶらな黒い瞳が印象的だ。
「おねいたん……?」
少女が私に呼びかける。
眼は黒い、怪人ではない。
「どうしてこんな場所にいるの?
お父さんかお母さんとはぐれちゃったの?」
私が訊ねると少女は頷いて、
「おとうたん、いなくなっちゃったの」
涙をこすりながら伝えてくれた。
少女は、迷子のようだ。
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