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「お父さんとはぐれちゃったのね。
あなた、名前は?」
私は、しゃがんで彼女の頭を撫でながら少女の名前を訊ねる。
「あたしは、ぴょんって言うの」
少女は、寂しそうだった表情から一変して、笑顔で名前を教えてくれる。笑顔が可愛い。
「ぴょんちゃん。お父さんとは、どこではぐれちゃったの?」
「あっち」
ぴょんと名乗った少女が指し示したのは、園内の東側エリアだった。
園内マップの東側を見ると様々なアトラクションやショップが並ぶメインストリートが続き、流れるプールや飛び込みプール、ウォータースライダーなどがあるプールエリアへ繋がっている。
幼い子を連れた親子2人で、なぜ魔都の玄関口である遊園地跡へ来ていたのか疑問が残るけれど、この子の親を探したい。
「はぐれた場所まで行ってみようか?」
私が提案すると、ぴょんちゃんの表情が明るくなる。
「一緒に来てくれるの?」
私に飛びつくように身を乗り出した。
「うん」
「ありがとう! おねいたん」
ぴょんちゃんは、満面の笑みを浮かべて両手を挙げて喜んだ。表情がころころと変わって可愛らしい。こんな幼い子を危険な場所で放っておくなんてできない。
私は、少女と手を繋いで、少女の父親を探すことにした。
封鎖された魔都に繋がる県またぎのテーマパークは、魔都の怪人が潜んでいる可能性があり入園禁止となっている。
少女の父親は、どうして危険な場所に少女を連れて来たのかな。どうしてはぐれてしまったんだろう。
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