第一話

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「……ご」 「ん?」 「ご迷惑お掛けしました……」 「やだな。そんなに畏って。別に脅してるわけじゃないよ。さ、冷めるから食べて」    ピンク頭が屈託ない表情で手を広げた。  ーー冷静になれ。  俺は箸と汁椀を取った。ズズズと味噌汁を飲みながら部屋を見渡した。人は見た目で決めつけてはいけない。確信した。  塵ひとつない部屋だ。若いのに家の事にまで気を回して立派としか言いようがない。洗濯物が干してあるとかそういう生活感が一切ない。越して来てから間もないのか?  壁面に畳一畳ぐらいありそうな絵が飾ってあった。ナンの絵だ?  視線を戻すと、俺の前に座ったピンク頭が食べもせずニコニコと俺を見ていた。 「何? 今日は仕事だって言ってたよね。在宅? 俺も一日ここにいるから、ここでやったら?」 「いや」 「Wi-Fi、繋げるといいよ」 「いや、それはさすがに。食べたら帰……」 「昼はお好み焼き、夜はパエリアにしようと思ってるんだよね」  さっきからこいつ、何言ってんだ! 「メチャクチャいいな、それ!」  俺は結構大きめの声で彼を肯定した。彼は吹き出して、 「いいだろー」 と言った。  
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