マリナのいない夏

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 いるんだよ、とヒロは呟く。その表情には憎しみの色が浮かんでいた。そして僕たちに言い聞かせるようにゆっくりと言う。 「事件の数日前にマリナはブレスレットを学校で盗まれている。俺はそいつがマリナを殺したと思っている」 「ちょっと待ってくれ。そんな話、聞いたこともない。そもそもブレスレットってなんだ。そんなものマリナはつけてなかった」  僕の言葉にカントクも同調する。彼女に至ってはヒロを憐れむような目で見ていた。きっとマリナの死で頭が変になったと思っているんだろう。 「ヒロはちょっと疲れてるんだよ。ほら、ジュースでも飲んで落ち着こ?」  カントクはヒロを無理やり座らせると、彼に紙コップを差し出した。ヒロは「俺は疲れてなんかないぞ」と言いながらもそのジュースを飲む。  二人のやり取りを眺めていると、つーちゃんがおずおずと手を挙げた。 「私、一度だけつけてるところ見たことあるよ」 「えっ!」と僕とカントクの視線がつーちゃんに注がれる。いきなり話題の中心になった彼女は少し緊張した面持ちで話す。
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