願いの成就

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願いの成就

「私、木島君と付き合うことになった」  学校に着くと、早々に楓が嬉しそうに言ってきた。 「え!おめでとう!ってことは、あの本は読み終えたの?」 「そう!噂は本当だったんだよ。葵はどう?最近、高梨に勉強教えてるんでしょ。本は読み終えたの?」 「ううん、まだ。あと少しなんだけどね」 「早く読んじゃいなよ。そうすれば高梨と結ばれるんだから。ウジウジしてるとあっという間に卒業で、誰かが高梨を取ってっちゃうよ」 「あははは」と苦笑いしつつ、私は持っている本を見た。  栞が残り6分の1くらいのところに挟まれている。読もうと思えば今日中に読めるだろう。  でも、読み終えるのが怖いという思いがあった。そのせいで読むのがどんどん遅くなり、さらに何度ももう読むのをやめようと思った。  もし本当に願いが叶ったら?と思うと、突然言いようもない不安を感じる。それは物語の内容のせいなのか、私の願いがそうさせるのかが分からなかった。
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