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「翔吾くん、カッコイイよね。結愛ちゃん、デートしてみたいんじゃない?」
中学生になって、結愛ちゃんも異性に随分と興味が出てきていた。私は姑息にも、心理戦でサッカーゲームを優位にしようとした。
「してみたい! あ、でもね、街に二人でお出掛けするなら、ぷよ先生の方がいい!」
返り討ちだ。みごとなカウンター攻撃で、私のゴールに小さなボールが転がり込んだ。
「いえーい! 勝ったよ!」
私の負けだ。負けだが、こんな幸な負けはこの場所のこの時しか味わえないかもしれない。
英語で "Down to earth" という言葉がある。
「地球に降りる」という意味ではない。地に足のついた、落ち着きのある、分別のある、素朴な人。そういう意味だ。
私にとって結愛ちゃんや、もちろん他の生徒たちもだが、子供たちは皆地上に降りた天使のようだ。
そんな生徒らに対して私は地に足をつけ、彼女、彼らを自立に導く大人でありたい。彼女、彼らが自由にその翼を広げられる社会を守りたいと、笑顔をプレゼントされる度に心に誓うのだった。
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