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天使という呼び方は嫌いだ
「ぷよ先生はイケメンが好きでしょ?」
「結愛ちゃん、文代先生ね」
「うん。ぷよ先生はイケメンが好きでしょ?」
呼び名を訂正しても直らない。それは分かっているが、私は一日に一度は必ず間違いを指摘している。もちろん、本人がわざと間違えているのを承知の上で。
「そうだね。イケメンは好きかな。結愛ちゃんも好きでしょ?」
特別支援学校の寄宿舎。教員の私は週に一度のペースで寄宿舎でも勤務している。今の時間は食事を終えて入浴の時間までの間、こうして中学一年生の結愛ちゃんとテーブルサッカーゲームをやりながら他愛もない会話を楽しんでいる。
寄宿舎のテーブルサッカーはなかなかの大きさだ。支援者の方が寄付してくれたものだが、テーブルに置くボードではなく、それ自体に脚が付いていて、高さは私の腰、結愛ちゃんの胸の位置ほどもある。
選手を動かすためのバーも、結愛ちゃんでは両手を思い切り広げなければ両端には届かない。そのため結愛ちゃんは、私のように中央にどっしりと立つわけではなく、左右にちょこちょこと可愛らしく動いて選手たちを動かしている。
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