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当然彼女には不利なゲームであるが、私も器用な方ではない。毎回本気で戦って、勝ったり負けたりを繰り返している。
特に舌戦が混じると私は不利だ。結愛ちゃんの愛らしさに、この時間を過ごせていることに心動かされてしまう。
結愛ちゃんはダウン症だ。「ダウン」という言葉はネガティブな印象を受けるが、ダウン症のそれは最初に症例を報告した人物の名によるものだ。
ダウン症の人たち、特に子供たちが「エンジェル」と時に呼ばれることを、私は快く思っていなかった。顔つきが穏やかでにこやかに見えるからという理由らしいが、もっと一人一人に目を向けるべきだと。
だが特別支援学校の教員となり、確かにダウン症の子供たちが穏やかで素直で優しく笑顔が愛らしい子供たちばかりであることに私自体癒されているし、それを求めるようになっていた。
こと体型を揶揄されて「ぷよちゃん」などと呼ばれたとしても。
「イケメンはね、翔吾くん。翔吾くが好き」
結愛ちゃんが左右にステップしながら年齢よりも幼く見えるその顔に満面の笑みを浮かべて、今夢中でドラマを見ている若手役者の役名を口にした。
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