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急に 現れた八代さんは 私の頭の上に何かを置く。 「忘れ物」 「あ、これ、私の企画書……」 頭の上に 置かれていたのは 会議室に忘れてしまい後から 取りに行こうと思っていた企画書のファイルだった。 「相変わらず、中身がスカスカな企画だな。プレゼン中、聞いてて退屈すぎて寝そうになったよ」 「なっ!」 「この程度の企画、新入社員でも作るぞ。……いや、むしろ、新入社員の方がもっとまともな企画作るな」 「わ、悪かったですね!入社して何年経っても、上達しなくて!!」 「もっと頭使って考えろ。このままだと、一生補佐の仕事しかできないぞ」 「わ、わかってますよ!!」 下屋さんの同期で 学生時代からの付き合いがあるという 八代さんは 優しい下屋さんとは違い 口が悪くこうしていつも私にだけ 意地悪なことばかり言ってくる、少し苦手な人。 .
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