母の日記帳

5/10
前へ
/10ページ
次へ
 その内容はにわかに信じられない。  母は結婚する前に、当時売り出し中だった俳優の『鏡山竜之介』と交際していた。  日記帳に挟んでいた写真は、若い頃の母と鏡山竜之介。スマホで調べたら、鏡山竜之介の写真で間違いなかった。    母はひっそり交際していたが、ある時鏡山竜之介が所属する『辺見プロダクション』に知られ、彼と別れるよう言われたと。  それはスキャンダルを防ぐだけでなく、業界では弱小プロダクションである辺見プロの社長が、鏡山竜之介と有名俳優の娘『堀川弥生』と政略結婚させ事務所の安泰を得るため。  結局鏡山竜之介と母は別れ、堀川弥生と結婚して芸能界での後ろ盾を手に入れた。そして母は伯父の紹介で父と見合いをして結婚。  そこで日記は終わっている。  そう思っていた。  だけど数ページの空白の後、日記が続いていた。  母と鏡山は別れる前に『お互い気持ちが変わってなければ、3年後の10月××日思い出の〇〇公園で待ち合わせ』の約束をしていて再会、その日に一夜を共にした。  しかも『愛の証』が欲しいと避妊はせず。  それから母は妊娠。  妊娠ってどういうこと?私はひとり娘のはず。  それから再び数ページの空白があり、日記の先を読み進めると、私の本当の父は『鏡山竜之介』と書いてあった。  夫の髪の毛を使い、こっそりDNA鑑定をしたら『夫と娘』に血縁関係は無いと結果が出たと。   「う……そ……」 「いつの間に調べたの?」  私は目の前が真っ暗になった。  大好きなお父さんが……やさしいお父さんが本当のお父さんじゃない。  お母さんがお父さんを裏切って、しかも裏切りの証が私。  更に日記を読み進め、母の恐ろしい計画を知ることに。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加