母の日記帳

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 鏡山竜之介の妻『堀川弥生』は、鏡山より21歳も年上。母は堀川弥生が亡くなったらDNA鑑定を楯に夫と離婚して、鏡山に隠し子の存在を伝える計画を立てていた。  要は私の存在を伝えて、鏡山と再婚……。  日記帳と一緒に仕舞ってた茶封筒を開けてみると、中身は妻の欄だけ記入している離婚届とDNA鑑定書。  そして弁護士事務所のパンフレット。  「お母さんは本気でお父さんと離婚して……鏡山竜之介の一緒になるつもりなの?」  自分勝手すぎる。  私を育ててくれたお父さんの気持ち。  孫だと思って可愛がってくれた、死んだじいじとばあばの気持ち。  お父さんと思っていた人がお父さんじゃないって、お母さんは今更私に伝えるつもりだったの?  いくら鏡山竜之介が大物俳優でも……。  そんなに鏡山竜之介の妻になりたいの?  私に『鏡山竜之介の娘』って肩書きはいらない!  それから私はあった事もない『堀川弥生』が、お母さんより長生きするよう願った。
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