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だけど願いが叶う事なく半年後、堀川弥生の訃報が。
どうしよう。
どうしよう。
お母さんはあの計画を実行するかもしれない。
家族が……。
今までの思い出が……。
壊れる……。
お母さんを止めなきゃ!!
お父さんが仕事のトラブルでしばらく横浜を離れると聞き、私は『お母さんの体調が心配だから』と実家に帰ることにした。
私が住んでいる名古屋から横浜へと急ぐ。
実家に到着したのは夕方。
玄関を開けリビングに入ると、母は嬉しそうだった。
「あら?お帰り千夏」
「た……ただいま」
持病のためお酒は控えていたはずなのに、母の側には封を開けた赤ワイン。ワインのラベルに見覚えがあった。
「お母さん!そのワインお父さんのとっておきの!!」
「私が結婚するときお父さんといっしょに飲む約束していたのに」
母は私を見ると微笑み。
「何言っているの?そんな日は来ないわよ」
「はあ?どういう意味?」
「あら?千夏が結婚出来ないって意味じゃないわよ」
完全に酔っ払っている。
「お母さん酔いを覚ましたら?」
母はそれもそうねと、リビングにある風呂のお湯張りのスイッチを押した。
「もう少しよ。もう少ししたら母さんの願いが叶うの」
「うふふ」
目の前の母は親ではなく、ただの気持ち悪い女だった。
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