母の日記帳

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「ねえお母さん」 「なあに千夏」 「お母さんが手術しないのって、その『願い事』と関係あるの?」  母は目を見開くと頷いた。 「だって願いが叶う前に、体に傷をつけたくないんですもん」 「綺麗な姿を見て欲しいの」  誰に?と聞く気にもなれない。  気持ち悪い……。  そんな私の気持ちも知らず、母だった生きた肉の塊は浮かれていた。 「そうだ!お風呂上がりにコーラ飲みたいから買ってきて」  吐き気がしそう。  ♪~ 『お風呂が沸きました』  給湯器の音声がリビングに響いた。  生きた私利私欲の塊は、鼻歌まじりにバスルームに向かった。
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