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「何も用意出来なかったんですが、昨日、酔ってしまったとは言え、ご迷惑をおかけして、すみませんでした」
お詫びを買えなかった分、一生懸命に頭を下げた。
シーン、と一瞬の沈黙。頭を上げるタイミングがつかめない。
「……ドンピシャかも」
「えっ?」
「イヤ、……こっちのハナシ、それを言うために、わざわさ?」
「あっ、……はい、謝りに来ました」
顔を上げると、卯月さんは顔をほころばせて優しく笑っていた。今までのと違う、きちんとしていない笑顔。
「……」
ドキッ
何故だろう? こっちの方が、十倍素敵だと思った。
「気に入っちゃった♪」
「……へ?」
「自分が原因じゃないのに、迷惑かけたって、謝りにくる子、珍しいよね?」
そう、なのかな?
「こちらこそ、ウチの後輩がお酒飲ませちゃってゴメンね」
そう言って卯月さんは、わたしの頭をサラッと軽くなでる。
えぇっと……。
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