3 薔薇色*デート

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「卯月さんって、一人暮らしですか?」 「うん、あれ? ……前に、話さなかったっけ?」  えっ? そうだっけ、いつだろう? 「あぁ、……カフェ・ローズで、初めて会った時だったかな?」  あっ、あの時かぁ……。忘れてしまっている手前、つい後ろめたい気持ちになってしまう。 「あかりちゃん、覚えてないよね?」  「……すみません」 「もう気にしないでいいよ?」 「はい」  あの朝の、卯月さんのガッカリした顔を思い出した。申し訳ないなと思うけれど、記憶が戻るわけでもない。あんまり恐縮しても、返って失礼になってしまうよね? 『あかりは、カフェ・ローズの休憩室で、友さんと楽しく喋った後、寝ちゃったらしくて……』この前の、芹香の言葉を思い出す。  あの時のわたし、卯月さんと、他にどんな話したんだろう? 「―――…でね、あかりちゃん」
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