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いつの間にか、綺麗な顔がすぐ近くに来ていて。わたしは、驚いて後ずさった。
「はい、ごめんなさい!」
「そっか……」
残念そうに肩を落として、その人は小さくつぶやいた。
「……うづき、ゆう」
えっ?
「卯月友、城山大学の今二年だよ」
あっ……。
「佐倉あかり、北城山高校二年です」
言わないようにしたけど、初めまして、じゃあ、ないんだよね……?
卯月さんはクスリと、笑うと、不意に起き上がってわたしの二の腕をつかんだ。
次の瞬間…―――
えっ?
唇にやわらかいモノが触れた。
目の前に、伏せられた長いまつ毛が見えている。
「……っ!?」
ほんの一瞬のことで、何が起こったのか分からなくて困惑した。
「早く、思い出してね!」
耳元で、そう囁かれて更に混乱する。
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