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「すがすがしい青空の下、うら若き男女がひとつの目的に向かって奔走する。いやあこれこそ青春だよね」 「汚すぎて誰も寄り付かない屋上であるかわからんラブレター探すのが青春なのか」  あはは、と下山さんの笑い声が遠くから聞こえた。彼女は僕のいる場所とは反対側の壁を走る配管を覗きこんでいる。  僕は階段室の錆びた梯子に手をかけて天井にのぼる。正方形の小さなスペースを見渡すが、昨日降った雨の水たまりがあるだけだった。 「そっちあったー?」 「いやこっちにもないな」  僕は首を横に振る。  さっそく僕たちは『伝説の七枚ラブレター』探しを決行していた。  下山さんの話によると、校内にある七ヶ所の告白スポットにそれぞれ一通のラブレターが隠されているらしい。  そしてそのラブレターを全部集めればなんでも願いが叶う、と言われているそうだ。 「でもさ、よく信じてくれたよね」  下山さんの声が足元から聞こえた。  確かに、にわかに信じがたい話だ。ただの悪戯の可能性もある。  今もこうして屋上を歩き回る僕たちを眺めて笑ってる人がいるのかもしれない。 「そんなにモテたかったの?」 「まあね」  僕の即答に彼女は苦笑する。もちろん僕だって半信半疑だ。  だが一度考えてみてほしい。これが悪ふざけだった場合、気分は悪いがまあそれまでの話というだけ。  けどもしも噂が本物だったら?  僕は七枚のラブレターを手に入れたうえ女子に告白されるようになるわけだ。こんなローリスクハイリターンな賭けがあるだろうか。フルベットしないわけがない。 「でもそれだけじゃないけど」 「だけじゃないって?」
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