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僕は見つけたばかりのラブレターに貼ってあるハートを爪で剥がして開封した。
中には二つ折りの紙が収められている。他のラブレターと同じパターンだ。
『大切なものを大切にしようとするところ』
入っていた紙を取り出して開くと、中央に折り目が走った一文が目に入る。
ころんと丸くてかわいらしい手書きの文字だ。これも他のものと同じだった。
訊けば答えてくれるところ。何にも流されないところ。なんだかんだ優しいところ。心配なくらい素直なところ。
他の手紙に書いてあった内容だ。一枚じゃよくわからなかったが、さすがに五枚目ともなれば察しがつく。
「ラブレターだもんねえ」
微笑む下山さんに僕は小さく頷く。もう一度だけ文章を目でなぞってから便箋に戻した。
なんだか他人の手紙を盗み見ているようで若干悪い気もするが、そもそもこれは伝説のラブレターなので問題ないはずだ。
僕は五枚目の便箋をブレザーの内ポケットにしまって、卓球台を元の位置に戻す。
「よし次いくか」
「だね。日も暮れそうだし」
「てか同じ日にぜんぶ見つけなきゃいけないルールないよな」
「それはないと思うけど、誰かに見つけられる前に私たちが見つけちゃったほうがいいんじゃない?」
「間違いない」
せっかく五枚も手に入れたのだ。あと二枚。
他のやつに見つかるより先に僕たちで見つけたい。
「次はどこだろう」
「一年生の自習室、いっつも誰もいないって聞いたことある」
「せっかく受験終わったのに勉強するやつなんかいないもんな」
「ほんとそれ」
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