恋い死に~恋が咲く前に終わらせたかった~

18/21
前へ
/167ページ
次へ
北白川美怜(きたしらかわみれい)が、屋敷で会話した人物を全員挙げろ」 「全員かー……」  面倒くささを体全体で表現する初さんだけど、頭の中では次に何をするべきか計画が進んでいるらしい。  彼は成すべきことを成すために、部屋の出入り口へと体の向きを変える。 「疑いを晴らすためだ」 「はいはーい」  悠真様と(うい)さんの仲が落ち着くと、の心臓は再び可笑しなな動きをし始めた。  仲間が疑われるってことは、あまり気持ちのいいものではないからなのかもしれない。  悠真様が仲間に疑いの眼差しを向けるだけで、私の心臓は物凄い勢いで活動を始めていく。 「結葵(ゆき)、無理をするなよ」 「はい……」    障子戸の向こうに、影を見た。  私が気配を察することができるということは、悠真様だって初さんだって、その存在に気づいているはず。 (声が、聞こえる……)  障子戸の向こう側にいる生命は、私に言葉を投げかける。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加