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「北白川美怜が、屋敷で会話した人物を全員挙げろ」
「全員かー……」
面倒くささを体全体で表現する初さんだけど、頭の中では次に何をするべきか計画が進んでいるらしい。
彼は成すべきことを成すために、部屋の出入り口へと体の向きを変える。
「疑いを晴らすためだ」
「はいはーい」
悠真様と初さんの仲が落ち着くと、の心臓は再び可笑しなな動きをし始めた。
仲間が疑われるってことは、あまり気持ちのいいものではないからなのかもしれない。
悠真様が仲間に疑いの眼差しを向けるだけで、私の心臓は物凄い勢いで活動を始めていく。
「結葵、無理をするなよ」
「はい……」
障子戸の向こうに、影を見た。
私が気配を察することができるということは、悠真様だって初さんだって、その存在に気づいているはず。
(声が、聞こえる……)
障子戸の向こう側にいる生命は、私に言葉を投げかける。
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