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「驚くくらい意味深だね~」
「楽しそうな顔をするな」
心が、体が、紫純琥珀蝶と過ごした日々を覚えている。
血の繋がりのある家族よりも、長い時間を共にした蝶たちの言葉が未来に繋がると信じたい。
「結葵様」
どんなときも人を勇気づけるような明るさを忘れないと思われていた初さんの声が、急に落ち着いたものへと変わる。
「裏切り者は、狩り人全員だよ」
物事が大きく動くような発言をされた初さんだけど、初さんの顔から笑みは失われていない。
何も楽しいことは起きていないのに、生きているのが楽しくて仕方ないような柔らかな笑みを初さんは浮かべる。
「凄いね、悠真くん。本当に強大な力を手に入れちゃったね」
この場を仕切っていたように見えた悠真様は口を閉ざして、初さんが思う存分、話ができるように環境を整えていく。
「これから筒路森は、日本を掌握するほどの力を手に入れる」
息を吸い込むのも難しくなるような殺伐とした空気が空間を覆っているけれど、独壇場を手に入れた初さんを嫌いになることができないのはどうしてなのか。
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