第1話 サファリ女とヤンキー君

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第1話 サファリ女とヤンキー君

 サファリ女に遭遇するのはこれが2回目。    1回目は先週、公園で。  いい歳した女が高い木に登って、葉にまみれてガサゴソしているものだから、思わず足をとめてしまった。何事かと遠目に見てみると、木の下では小学生たちが上を見上げて応援している。その女は枝に引っかかったサッカーボールを取っていた。    女は今からアマゾン?サバンナ?にでも探検にでも行くのか?というような服装だったから、勝手にサファリ女と命名。20代半ばくらいか。茶色い長い髪をポニーテールにしている。    無事ボールを取った後。あの高さからどうやって降りるのかと見ていたら、サファリ女はためらうことなくジャンプして、シュタっと着地。小学生たちとハイタッチして、そのまま公園の奥に消えていった。    それは身長180センチの俺が手を伸ばしても一番下の枝には手が届かないくらい、高い木。そもそもどうやって登ったんだ?――そこにいた小学生に聞いてみたら。   「すごかったの!探検家のお姉さんが木を触ったらね、そこの枝がこう、ぐい~んと降りてきて、お姉さんがそれに掴まってね、枝がぐお~んと上にあがっていって木の上にいったの」  子どもって何言っているかよくわんねぇな、なんて思ったが。今ならその意味がわかる気がする。サファリ女との遭遇2回目、本日わかったこと。  サファリ女は「植物を操れる」らしい。  
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