第8話 大和の恩返し②

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第8話 大和の恩返し②

 安田からサトウとボクシングという単語を聞いたとき、すぐにアイツだとわかった。去年まだ先輩達とつるんでいた時に一度、サトウ達とやり合ったことがある。先輩達があっという間にやられたのをみて、俺はさっさと逃げ出した。やつの強さは本物だ。間違いなく、サトウはかなりの強敵だった。  ノープランで挑んでも歯が立たない。返り討ちにされて終わり。それは重々わかっていた。  こんな時はどうする?    そうだ。超能力者に相談だ! 「――ということで、そいつをシメたいんすけど。一時的にすげー強くなれる葉っぱとかあります?」  話を聞き終えたレンさんは、無言で立ち上がり、ソファの座面に手をかけ、それをパカンッ!と持ち上げた。今まで散々座っていたのにちっとも気づかなかったが、ソファの座面下は収納になっていた。中にはビンやら袋やら細々した物がたくさん入っている。  レンさんはその中からひとつ、茶色い薬瓶を取り出した。 「なんすかこれ。薬?」 「うん。わたしオリジナル・ドーピング薬。能力で毒草薬草の効果を最大限に引き出して、エキスを抽出して、ブレンドして作ってみたの。ハシリドコロをベースに……いや、材料は秘密。飲むとたちまち覚醒状態になり、一時的に運動能力が爆発的に向上し、痛みも感じなくなる。まさに最強の戦士になれる!とっておきの薬だよ」 「なんつーもん作ってるんすか。てゆーかそんな危険物ソファ下にポンっと入れとかないでくださいよ」 「いやぁ収納スペース不足でねぇ。これを使えば10分くらいは思いっきり暴れられると思う。前飲んだ時、私でも片手握力50キロいったの。かなり強くなれると思うよ。その代わり効果が切れるとものすごい脱力感に襲われる。短期決戦向きね。どうかな。これ、使えそう?持ってく?」 「うん、これすごそう。ありがとうございます。あとね、レンさん。もうひとつ頼みがあるんだけど」 「うん。なんでも言って」  
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