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マットの上、ロープでぐるぐる巻きにされた男と、サファリな女。なんとか理性を保ちたい真島は、レンにしりとりを持ちかける。
「俺からいきます。ア・イ・ス!」
「ストレリチアニコライ」
「い、いるか。なんですかそれ?」
「観葉植物の学名です。カシワバゴム」
「むし」
「シロバナマンジュシャゲ」
「げ?げーむ。シロバナ?まんじゅ?」
「白い彼岸花のことです。ム・ス・カ・リ」
「リンゴ」
「極楽鳥花」
「レンさん!植物じゃなくても大丈夫ですよ!」
真島がそういうと、レンはあははと笑いマットの上にバタンと大の字になった。そして数メートル先の無機質なコンクリート天井を眺めた。
「………先生、結構時間経っちゃいましたね」
「ですね……」
「バスケの決勝戦、とっくに始まっちゃってますよね」
「なんなら終わっててもおかしくないですね……」
「見たかったなぁ、キラキラしてる大和くん。汗までキラキラしてたもんなぁ。大和くんだけじゃなくて、もう高校生たちみんな眩しすぎて、私、なんだか胸が痛いです」
「わかります。眩しいですよね。毎日彼らを見てますけど、毎日輝いてんなぁって思います。もちろん、綺麗事で終わらないこともありますけど。でも俺たちだって高校生の頃は眩しかったんですよ、きっと。
俺は高校の頃ずっと陸上をやってましたが、レンさんは何か部活とかされてたんですか?」
「私高校は行ってないんです。義務教育が終わったあとすぐに女中……メイドとして働いていたので」
「そうだったんですか」
「だからでしょうか、私もこんな青春時代を送ってみたかったなぁって、ちょっと思っちゃいました」
フフっと笑うレンの切ない笑顔に、真島は胸が締め付けられるようだった。
実際全身ロープで締め付けられている。
そんな真島に、レンは真剣な眼差しを向けた。
「先生、どんなこと言われても引かないので、今、お体どんな感じか、教えてもらってもいいですか」
「え?いや、それは……」
「今後の参考に感想を教えてほしいんです」
「今後も作るんですか!」
「ちなみに私は下腹部が疼いています。なんだか切なくて、誰かに触れてもらいたくて、思いっきり暴いてほしいような気分です。我ながらよく効く薬だなぁと感心しています」
真面目な顔して話しているが、レンの顔は紅潮し、寝転がっているだけなのに息があがっている。体の一部に熱が集まるのを感じた真島は、ぐっと目をつぶり、恐る恐る話し出す。
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