第32話 真島の婚活大作戦④

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 マットの上、ロープでぐるぐる巻きにされた男と、サファリな女。なんとか理性を保ちたい真島は、レンにしりとりを持ちかける。 「俺からいきます。ア・イ・ス!」 「ストレリチアニコライ」 「い、いるか。なんですかそれ?」 「観葉植物の学名です。カシワバゴム」 「むし」 「シロバナマンジュシャゲ」 「げ?げーむ。シロバナ?まんじゅ?」 「白い彼岸花のことです。ム・ス・カ・リ」 「リンゴ」 「極楽鳥花」 「レンさん!植物じゃなくても大丈夫ですよ!」  真島がそういうと、レンはあははと笑いマットの上にバタンと大の字になった。そして数メートル先の無機質なコンクリート天井を眺めた。 「………先生、結構時間経っちゃいましたね」 「ですね……」 「バスケの決勝戦、とっくに始まっちゃってますよね」 「なんなら終わっててもおかしくないですね……」 「見たかったなぁ、キラキラしてる大和くん。汗までキラキラしてたもんなぁ。大和くんだけじゃなくて、もう高校生たちみんな眩しすぎて、私、なんだか胸が痛いです」 「わかります。眩しいですよね。毎日彼らを見てますけど、毎日輝いてんなぁって思います。もちろん、綺麗事で終わらないこともありますけど。でも俺たちだって高校生の頃は眩しかったんですよ、きっと。  俺は高校の頃ずっと陸上をやってましたが、レンさんは何か部活とかされてたんですか?」 「私高校は行ってないんです。義務教育が終わったあとすぐに女中……メイドとして働いていたので」 「そうだったんですか」 「だからでしょうか、私もこんな青春時代を送ってみたかったなぁって、ちょっと思っちゃいました」  フフっと笑うレンの切ない笑顔に、真島は胸が締め付けられるようだった。  実際全身ロープで締め付けられている。  そんな真島に、レンは真剣な眼差しを向けた。   「先生、どんなこと言われても引かないので、今、お体どんな感じか、教えてもらってもいいですか」 「え?いや、それは……」 「今後の参考に感想を教えてほしいんです」 「今後も作るんですか!」 「ちなみに私は下腹部が疼いています。なんだか切なくて、誰かに触れてもらいたくて、思いっきり暴いてほしいような気分です。我ながらよく効く薬だなぁと感心しています」  真面目な顔して話しているが、レンの顔は紅潮し、寝転がっているだけなのに息があがっている。体の一部に熱が集まるのを感じた真島は、ぐっと目をつぶり、恐る恐る話し出す。
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