25人が本棚に入れています
本棚に追加
「その……自分は、聖剣エクスカリバーが、岩山に戻りたがっているような気分……とでもいいましょうか……」
「……お辛いですか?」
真島が目を開けると、切なげに潤んだ瞳を向けてくる、無防備に寝転がる女がひとり。
「正直いうと、とても……」
「先生、ご結婚は?」
「いえ、まだ」
「お付き合いされてる方は?」
「いません」
「こんな素敵な方なのに?」
「そんな、とんでもない。俺なんて全然……」
「私に触りたいと思いますか?」
「……それは聞かないでください」
「先生にこの熱をおさめてほしいって言われたら、どうでしょうか」
「……んん」
「ロープを解いたら、私、先生になにされちゃうんでしょうか」
「……レンさん……俺は……」
「せんせ?」
「……レンさん!」
真島がありったけの力でロープを振り解こうとしたその時、ガラッ!と倉庫の戸が開いた。
そこにはゼエゼエと息を荒げる大和と、無表情な青木がいた。
「真島!レンさんに手ェ出してな……なんだお前。ミノムシ??」
「大和くん!試合は?ごめんなさい行けなくて。決勝戦終わっちゃった?!」
「とっくに優勝しちゃったよ。ったく全然サファリな女が応援にこねーと思ったら、何とじこめられてんすか。しかも童貞と!」
「おい橘!言うな!」
「なんと……!29歳男性、女性経験なし。効果は抜群。これも貴重なデータです!ありがとうございます。それと大和くん、優勝おめでとう!」
マットから勢いよく立ち上がったレンは、大和の両手をとり、ブンブンと縦に振る。大和はそのままレンの体を引きよせ、正面から抱きしめる。
死闘を繰り広げたばかりの男の匂いが、レンをダイレクトに刺激する。
「ひゃ、大和くん!今は、ちょっと」
「だめでしょ、俺の活躍を見るって約束破ったんだから。悪いおねーさんにはお仕置きがいるんじゃない」
「その前に!」
レンは大和の分厚い胸を押し戻し、その背後でつまらそうな顔をしている青木を見た。
「弁解なら聞くよ。青木さん」
最初のコメントを投稿しよう!