第32話 真島の婚活大作戦④

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「その……自分は、聖剣エクスカリバーが、岩山に戻りたがっているような気分……とでもいいましょうか……」 「……お辛いですか?」  真島が目を開けると、切なげに潤んだ瞳を向けてくる、無防備に寝転がる女がひとり。   「正直いうと、とても……」 「先生、ご結婚は?」 「いえ、まだ」 「お付き合いされてる方は?」 「いません」 「こんな素敵な方なのに?」 「そんな、とんでもない。俺なんて全然……」 「私に触りたいと思いますか?」 「……それは聞かないでください」 「先生にこの熱をおさめてほしいって言われたら、どうでしょうか」 「……んん」 「ロープを解いたら、私、先生になにされちゃうんでしょうか」 「……レンさん……俺は……」 「せんせ?」 「……レンさん!」  真島がありったけの力でロープを振り解こうとしたその時、ガラッ!と倉庫の戸が開いた。  そこにはゼエゼエと息を荒げる大和と、無表情な青木がいた。   「真島!レンさんに手ェ出してな……なんだお前。ミノムシ??」 「大和くん!試合は?ごめんなさい行けなくて。決勝戦終わっちゃった?!」 「とっくに優勝しちゃったよ。ったく全然サファリな女が応援にこねーと思ったら、何とじこめられてんすか。しかも童貞と!」 「おい橘!言うな!」 「なんと……!29歳男性、女性経験なし。効果は抜群。これも貴重なデータです!ありがとうございます。それと大和くん、優勝おめでとう!」  マットから勢いよく立ち上がったレンは、大和の両手をとり、ブンブンと縦に振る。大和はそのままレンの体を引きよせ、正面から抱きしめる。  死闘を繰り広げたばかりの男の匂いが、レンをダイレクトに刺激する。 「ひゃ、大和くん!今は、ちょっと」 「だめでしょ、俺の活躍を見るって約束破ったんだから。悪いおねーさんにはお仕置きがいるんじゃない」 「その前に!」  レンは大和の分厚い胸を押し戻し、その背後でつまらそうな顔をしている青木を見た。   「弁解なら聞くよ。青木さん」
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