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第35話 師匠の言い分
「私も飲んじゃったの、媚薬。知らなくて。身体中、切なくて仕方ないの。少しだけくっついてもいい?」
薄暗い部屋で好きな女に押し倒されて、切なそうな目でそんなこと囁かれて、断れる男がいるだろうか?
いや、いない。
「……いーですよ。いっぱいきて」
そういうとレンさんは、いつも俺がそうするように、俺の首元に顔を埋めた。同時に熱い体がピッタリと密着する。
「……大和くんのにおいだ」
耳元で吐息混じりに囁くレンさん。
のしかかるその小さい背中に手を回し、撫で回す。
下着の凹凸がよくわかる。
レンさんが切なげな息を漏らす。それがもっと聞きたくて、耳を甘噛みして、息を注ぐ。
「ちゅーする?」
レンさんは少し体を硬くして、それから頷くような動作をした。
頭と腰を抱えてゴロンと倒し、形勢逆転。
マットにダラリと寝転がるレンさんの顔は、いつになく蕩けていて、物欲しそうだった。
だらんとする両手に指を絡めて、マットに縫い付けて、そのまま顔を近づける。
レンさんは長いまつ毛を伏せて、口を少しだけ開いた。
「やま」
何かを言おうとしたその口を塞いだ。離しては塞いで、離しては塞いだ。にゅるりとした感触、エロいキス。入れて、出して、つつき合って、エロいキス。
本人は無自覚なんだろうが、レンさんの腰が小さく、規則的に揺れ始めた。
早く来て、とでも誘うかのように。
早くいきたい。
でもちょっとだけイジワルしてやりたい。そんなことを考える余裕はまだあった。
「どーしたの。腰、揺れてるよ」
「ちが、気のせい」
「レンさんのえっち」
レンさんは恥ずかしそうに目を逸らす。
片手を解き、その欲しがりな腰を撫でる。
その手を這わせて、体の上へ。レンさんは急に慌てた顔をする。
「はぁ…柔らかい。でけー」
「あ、やっぱりダメ」
「だめ。もー逃げれません」
「ダメダメ、くっつくだけ!」
「誘ったのはレンさんでしょ」
「真島先生と2人きりでずっと我慢してたから、爆発しちゃって、つい……」
「……真島に欲情してたの?」
「そういう薬なんだってば……んッ」
「俺を煽るのが上手だね、レンさんは」
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