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ーー
「つーことはだ。そういうことだよな?」
「そうじゃない?師匠、うぶな感じだもん」
「はぁ……まじか。大切にしなきゃな。俺が初めての……あー。……やべー、えろ……」
「ねぇ。何がどういう感じでやばくてえろいの。師匠ってなに。そして大和君はいつの間に青木さんとそんな親しい仲になってるの」
球技祭後。担任真島の悲願・総合優勝を手にした2年A組は、打ち上げに焼肉屋に来ていた。
焼き網にどんどん肉を並べる青木、テキパキと肉を返す大和、それをひたすら食べるだけの安田。
その横で心ここに在らずな担任教師・真島。
「色々あったんだよ。安田がサトコちゃんとイチャイチャしてる間にな」
「してないよ!そして真島先生はなぜ魂が抜けてるの。せっかく優勝したのにさあ!やっぱり逆ナンされなかったのかなぁ」
「ほっといてあげて。彼は今日だいぶダメージを受けてしまったの」
「主に青木のせいだろ」
「いや、最後えぐったのは師匠だよ」
「だから師匠ってなに??」
「レンさんに決まってんだろ。青木がレンさんの弟子②だったんだよ」
「え!青木さんが?!いつの間に……」
「色々あって。安田君も師匠と仲良かったんだね」
「うん……仲がいいというか……ていうか青木さん、今日はなんだかサバサバしてるね」
「私は自分の心に正直に生きることにしたの」
「へぇ。いいね、新鮮だ」
「ふふ。いざという時、味方になってくれる人がいるって、こんなに心強いことなのね」
そう言ってどんどん肉を並べていく青木。
「青木、ペース早すぎ。焦げちまうだろ」
それを追いかけるようにひっくり返す大和。
2年A組が誇る美男美女が、阿吽の呼吸で焼肉を捌いていく様を、クラスメイトたちはうっとりと眺めていた。
「うん。うまいうまい。イケメンと美少女が焼く肉はうまいなあ。それにしてもまったく、球技祭の裏で何があったんだろうな」
誰も何も教えてくれないから、仕方なく肉を食べ続ける安田。
「俺も……自分の心に正直に生きてみようかな……」
真島がボソッと呟いた言葉を、安田が拾う。
「先生。話なら俺が聞きますよ」
「俺……今まで年上のねーちゃんがタイプだったけど…やっぱり年下のサファリ服着たねーちゃんがタイプだわ」
「は?しね」
「師匠に手出したらグングニルですよ」
「真島先生にはあの人、手に負えないと思います」
「俺の教え子たちがこんなにもキツい……」
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