第36話 バラパーティー①

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 結局、俺は忘れな草の種を、青木はアネモネの球根と鉢を、レンさんに買ってもらった。  レンさんはビオラ3株、シクラメン1株、アリッサム1株、ネメシア2株、チューリップの球根10袋、水仙の球根2袋、ムスカリ、クロッカス、スノードロップ………………  いっぱい買ってた。  大荷物を抱え、ショッピングセンターのフードコートでひと休み。  レンさんと青木が、先にランチを注文をしに席を離れた。  椅子にだらんと座る。    にしても。  レンさんが最強の毒薬を完成させちまった。毒殺なんて、なんだかんだいって冗談だろうとどこか軽く流してきていたが、急に現実味が増してきた。  早く駿河をとっ捕まえねえと。でもどこにいるかも、どうやって捕まえるかも、なんにもわかんねー……  脱力していると、後ろからトントン、肩を叩かれた。 「やーまーと!また会っちゃったね!」  振り返ると、ニッコニコの元カノ・リナ。花火大会で会って以来だった。 「おー」 「ねぇどうしちゃったの大和。今日は美女2人も引き連れてるじゃない。ついに1人じゃ満足できなくなったの?」 「ちげーよ。1人はただのストーカー」  「あら〜。イケメンは大変ねぇ」 「俺のじゃない。レンさんの」 「あらら〜??」  リナが隣の空席に座る。  懐かしいボディソープの香りがした。 「そこ。レンさん戻ってくるから。どいて」 「えー?いいでしょ少しくらい。この前あんまり話せなかったから。喋ってみたいなぁ、レンさん」 「いーから。リナとレンさんじゃ会話が噛み合わねーだろうし」 「そうー?あ、あそこ。私の新しい彼氏。リョウ君!」  リナが大きく腕を振る。離れたところに、こちらを睨んでくるいかつい男と、数人の連れが見えた。 「……彼氏嫉妬するんじゃない。早く戻りなよ」 「大丈夫よぅ、優しい人だもん」  リョウ君はリナに見えない角度で中指を立ててくる。    でもこれぞリナ、という懐かしい気持ちにもなる。  リナは彼氏がいたって、平気でほかの男と遊ぶ。それを悪いこととは思っていない。良くも悪くも自由で奔放な女なのだ。  かつてその奔放さに救われたのも、また事実。 「それで?どうなの。もうできたの?レンさんとは」 「リナには関係ねーだろ」 「気になるなぁ、大和がどうやってほかの女の」 「リナ。そういう話はもうしない」 「大和君。まじめだねぇ」  横にはニコニコと笑うリナ。  の、後ろに、料理を持った真顔のレンさんと青木。
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