反発中

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久しぶりに見るマニュアル車のギア。 パニクってるところへ、 「あ、そうだ」 門口社長がヘルメットを脱いで助手席に乗り込んできた。 「な、なんですか?」 接近した門口から、フワリと大人の香りがした。 多分、VVLGARIだ。 「今から別の現場を見に行かないといけないんだ。丁度そこのダンプ空いたからそれここに回す。アクセスリースまでの途中だから乗せてけよ」 「だからぺーバーだって言ってるじゃないですか?! 」 帰社だけでいっぱいいっぱいなのに、お客様乗せて寄り道なんて恐ろしくて出来ない! それなのに、 「死ぬときは一緒だな」 門口は悠々と長い足を組んで発進を待っている。 「縁起でもない」 「安心しろ、大怪我して身体が不随になったら責任持って面倒みてやるから」 ドキッ。 なに、それ。 「……プロポーズですか?」 ちょっとトキメいたじゃないの。 「そんなわけないだろ。いいから早く動かせ」 「本当に知らないですからねぇ」 久しぶりの運転、プラス俺様社長様の送迎。 半端ないドキドキで、ハンドルを握る手は汗をかきまくっていた。 ……てか。 ダンプ運転出来るんなら、あなたがしたらいいんじゃないの? 心の中で軽く突っ込んでいた。
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