反発中

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「豆、元気か」 「はいっ? あ、ぁぁ、豆柴ですね。元気ですよ」 運転だけで精一杯の私に、気を遣ってるのかもしれないけれど、門口が要らない会話を始める (てか、略さないで) 「あれまだ若いだろ? 動きが若々しかったもんな」 性悪でも犬は好きなのか、ちゃんとペコのこと見てたようで……。 「3才です。門口さんのところは?」 ロットワイラーは、成犬は厳ついけど、子犬の時は超可愛い犬。 「恐らく同じくらい。獣医が言うにはな」 「恐らくってなんですか?」 それ把握出来ないくらい多忙なの? 「あれ、貰ったんだよ」 「え? お金持ちのお友だちから?」 「違う。保健所で」 「保健所……? また、何いい人ぶってるんですか?」 調子に乗った突っ込みをした私を睨みつけて、門口は少し切ない目をし、そして外に視線を移していた。 「前の飼い主はちゃんと躾ができなくて、成犬になったジャンヌに手を焼いたんだろうな。捨てられて栄養失調で病気になったところを保護されてたんだ」 「……」 批判出来ない日本のペット事情。 ペコは、わりかし高値でお父さんがブリーダーから買ってきたんだ。 「か、門口さんはショップ販売を反対する愛犬家なんですか?」 金持ちは、保健所の犬なんて見向きもしないと思ってた。
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