反発中

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「別にそういうわけじゃないよ」 冷たい横顔が少し微笑んで、運転する私の方を見た。 ……うそ。 この人、笑うと可愛い。 なんだろうな、整った外国の優しい犬みたいな……。 そう、コリーみたいだ。 「俺は賢い番犬が欲しくてロットワイラーを探してたんだ。でもあれを扱えるショップも少なくて、なかなか見つからなかった。 たまたま愛犬団体のSNSを見て、ジャンヌの存在を知ったんだ」 一度、そう思うと、門口のひとつ一つの表情や仕草がコリーに見えてくるから不思議。 ″お手″ って、言ったらやってくれないかな? 「ロットワイラーは噛む力が凄くてちゃんとし躾ないとあとあと飼育が大変な犬種……って、なにさっきから笑ってるんだよ?」 ハッ。 しまった。 つい、口元緩んじゃった。 「お前、年齢にそった躾してやろうか?」 「結構です」 この人がうちの上司じゃなくて良かった。 「あっ」
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