反発中

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そんなわけないのに、一応聞いてみた。 「そんなわけないだろ」 やっぱりね。 「……じゃ、なんですか? デートの誘いですか?」 そんなわけないのに、懲りずに聞いてみた。 「まぁ、顔見たくてな」 え? 否定しなかったよ? 「か、顔ですか?」 こんなフツーの28歳の女子の顔を休みの日に見たい? それって、 「そう、一目惚れしたからな」 「えー?! 」 動転してスマホを落としそうになった。 「ひげ面の豆子にな」 「…!…」 ……なに、このベタなオチ。 「俺も出掛ける前にジャンヌの散歩に出るから、お前も豆子連れてこいよ」 「……はぁ」 豆子じゃない、ペコだって。 何が嬉しくて仕事関係の人間に、連休初日の朝から会わなきゃいけないんだろ? それでも断れなかったのは、門口のキャラと、見るだけなら大満足な外見のせいだと思った。
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