反発中

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しかも、しっかり入った肩パットが現代感ゼロ。 これ在庫にずっと残ってるやつじゃないの? そう思えるスーツを、 「清楚なお客様には、ぴったりですってー」 店員は、何が何でも売り付ける気た。 あー、イラっとする。 「け」   ″結構です!″ そう言おうとしたら、 「お呼ばれ結婚式では、基本、地味な生地の黒はマナー違反なんだけどな」 背後から助け船。 電話を終えた門口が、腕を組んで私と店員のやり取りを眺めていた。 「残り僅かな二十代のお祝いの席なんだし、もう少し華やかなの勧めてやれよ」 まともなご意見。 「……っ、そ、そうですよね」 店員が屈辱的な顔をする。 それにしても、この門口。 出会ってから私のこと、アラサーだとか年齢に沿った、とか教えてもないのに私が28歳だということ分かってるみたいだ。 「これなんか、似合いそうだけどな」
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